2017年以前の旧ブログ
BLOG2017
みなさん、高知県の香美市という場所ご存じでしょうか。
私は大学4年間をみっちり過ごした思い出深く非常に縁のある場所です。
そんな香美市の合併10周年記念事業に参加してきました。
「異界談義」・・・ものものしいフレーズでわくわくしますよね!!
案内のポスター自体あやしげな雰囲気で非常に心躍ります!
ちょっと私の趣味をご存じの方だとぴんとくるかもしれませんが、なんと京極夏彦さんがこられるんです!
この世には不思議なことなどなにもないのだよ、で有名な百鬼夜行シリーズを執筆されている京極夏彦さんです!
高校時代に京極夏彦さんの処女作である姑獲鳥の夏に手をつけたのがきっかけですが、非常に好きな小説家さんであります。
正直、多少ミーハーな思いを秘めて参加したんですが、12時から17時までのみっちり5時間プログラムは非常に濃く、思った以上に引き込まれる時間でした。
母校高知工科大学の講堂
公演場所は母校でもある高知工科大学の講堂でした。
500人満員御礼状態!
私自身、こんなにやる気に満ち溢れて講堂に座ったのは初めてです。
そもそもいざなぎ流ってなんぞ?
香美市の奥、ほぼ県境にある物部町で続いているいわゆる民間信仰です。
→いざなぎ流の里 物部(FB)
私が初めて知ったのは、前職で物部界隈うろうろしていた時に地元の方にたまたま話を聞いて、「へー太夫さんね!うちの地元の神社のおじいちゃんも太夫さんって言われよったけど一緒やろかねー!」みたいな雑談をした程度の知識でした。
そんなにわかもにわかが聞いてもわかりやすくお話して下さったのがいざなぎ流の権威でもある国際日本文化研究センター所長小松和彦さん。
後の京極夏彦さんいわくこちらの先生がこれだけ大衆向けに噛み砕いて説明されたことはこれまでない、とのことでにわか参加者の私にとっては非常にラッキーでもありました。
登壇される京極夏彦さん
おもしろければOKという娯楽を発信する側でもある小説家視点でいざなぎ流の受け取られ方を、あの有名な犬神家の一族(著:横溝正史)や陰陽師(著:夢枕獏)の話をとりいれながら笑いありで講演されました。
この方非常にメディア的にも強い印象がありましたが、流石としかいいようのない話術…ご本人、めっちゃよく通るいい声してます。
いざなぎ流の話とは関係ないですが、言葉選びから話しぶりがこれほど作品と直結した印象をもつ小説家さんもめずらしいんじゃないかと思うくらい、講演されてても要所で京極さんの作品が頭をよぎりました。
いざなぎ流舞神楽 公演
物部いざなぎ流神楽保存会の方々による公演です。
再現される祭儀は今回の記念事業用のものだそうですが、詞章にも解説が入っていて多少なり内容がわかると脳みそへの浸透もわりとすんなりだなーと実感。
地元の神祭のうたも、そういえば内容はしらないなぁと思い至り、なんとなく耳にしているものでも意味を知るっていうのは大事なんだなと改めて感じました。
いざなぎ流と香美市の文化的資源
地域の文化資源を含めた調査なんかの報告と兼ね合わせて、いかにいざなぎ流を県外にPRするか、残していくのかという報告から、それを受けてのディスカッション。
このあたりの内容なんかは、良くも悪くも存在する田舎の「地域性」の考えかたによっても見解の差はでてくるんだろうなーと思いながら。
ここで小松さん、京極さんがおっしゃった「土地の考え、暮らしを変えないやり方にしないといけない。観察する側が現れることで対象に何らかの影響は与えるんだから」っていうのは当然のことながら音として耳にするとなんだか目からうろこな気分でした。
感想
いざなぎ流について知識が増えたよ!(テッテレー♪)
だけじゃなく、物事の考え方、本質的にとらえることの重要性について改めて意識する機会になりました。
私は香美市に住んでいるわけではないですが、小松さん・京極さんが「田舎」というものに非常にアクティブな発言をされてたのはなんだか嬉しく思いました。
ゆっくりする休日もいいですが、たまには脳みそ動かすような休日もいいもんですね!
合併記念事業、ということで大々的に銘打っての講演でしたが、「いざなぎ流と物部川流域の文化を考える会」の活動は5年目に突入されているようです。
地域文化を残すための活動、田舎の地域活性!かげながら応援していきたいと思います。
余談
京極夏彦さんの著書に「死ねばいいのに」というものがあります。
人生で1度だけ10日ほど入院したことがあるんですが、その際に病院に持ちこんだのがこの本でした。
そして病院でこのタイトルは…ということで看護師さんに撤去されてしまいました。
そんなちょっとしたことを思い出しました。